スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--年--月--日 | スポンサー広告 | とっぷ

P.01『White snow』.




こんなもの書いてないでレポートしろよ!!




 あたりを埋めるのは一面の白。冬場、激しい吹雪が吹き荒れるこの土地はこの年も例に漏れず壁外を雪で覆い尽くしていた。夏場では緑が芽吹き外の街へとつながる道がはっきりと眼に映るこの平原は今では見る影もない。
 この大吹雪では人っ子ひとりで歩くものもおらず、風の音がビュウビュウと空気を揺らすだけで雪を踏みしめる音など聞こえるはずもない。
 普通ならば聞こえるはずもないのだ。
 ザクッと、音を鳴らしながら足を進めるのは桃色の体色をもつ一匹のカービィ。体に主だった装飾はなく、また特徴もない。しかし左目の下にまるで火傷跡のような痣が存在していた。
 彼は焦点の合わない眼でただひたすら雪の中を前へ前へと進んで行く。目的地はない。しかし彼には意志があった。
 彼は記憶がなかった、つい先ほどこの雪原で目が覚めたばかりであった。彼はなぜ自分がそのような場所にいたのか、なぜ記憶がないのかがわからなかった。それどころか自分の名やこの場が一体どのような場所なのかもわからなかった。
 彼はこの場にいれば自分は死ぬ、と思った。このままでは自分は埋まり、窒息もしくは凍死するだろうと思った。
 故に彼は歩き出した。目的地どころか方向も定まらぬまま、ただ前へ。
 彼は「死にたくない」ただその意志のもとに動き出した。
 「眠い…眠い」
しかし彼に襲い来るのは吹雪と同時に大きな眠気。彼の足は次第に遅くなり、雪に取られる回数も増えて行く。
 「…」
そしてとうとう倒れ伏し、動くことはなくなった。



 「リー、こいつ誰?」
聞こえるのはひとりの低い男の声。眠たそうな声色だった。
「門の近くで見つけたの、落とし物はもらう主義だから」
さらに女性の声。こちら逆に爛々とした声だ。
 彼は徐々に意識を浮上させた。さきほどまで彼を襲っていた猛烈な吹雪は跡形も感じない。それどころかほのかな暖かさを感じた。意識とともにゆっくりと瞼を開く。目に飛び込んできたのは激しい光。
 「あっ、起きたんじゃないのその犬」
男は彼の様子に気づき、女に知らせる。しかしその言葉には彼が疑う単語が聞こえた。
 完全に目を開いた彼が見たものは二匹のカービィ。男は茶色の体毛に三角の耳、そして尻尾を持ち、女は彼と同じ桃色の体に奇妙な赤い翼を生やしていた。
 「犬って…?」
彼は開口するなり疑問を口にする。この場に犬など見当たらない。少し嫌な予感すらしていた。
「おはよう、ワンちゃん」
 そういって笑った女の顔は、照明に負けず劣らず眩しかった。

スポンサーサイト

2015年07月15日 | orikabi-This world is | こめんと 0件 | とらば 0件 | とっぷ

コメント

コメントの投稿



管理者にだけ見せる

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。