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No.3 下↓ 後



おまたせしました

後編です




東也「聡美、何言ってんだ?」
いきなり意味のわからないことを言い始めた聡美に、東也が近づき、肩に手をおく。
聡美はその手を払うこともなく、ただその場に立ち尽くしていた。顔は俯いているせいか、よく見ることはできない。
明「聡美?」
今度は明が近づき、聡美の顔を覗き込もうとした。が、その瞬間だった。
聡美「触るな」
パシンッ!!乾いた音がホールに響いた。明が聡美に平手打ちをされたのだ。集まっていた全員がこっちに振り向く。聡美は冷えたような眼を明に向け、口を開いた。
聡美「お前ら全員逃げられないから」
状況が理解できなかった。いったい聡美は何が言いたいのだろう、たぶんここにいる全員が俺と同じことを思っているだろう。
東也「聡美、本当にどうしたんだ…?」
東也が声を震わせながら様子のおかしい聡美に手を伸ばした。だが、聡美はその手を懐から出した``物``を東也に突きつけて止めた。
 それを見た瞬間ここにいる誰もが息をのんだ。ホールに届いているわずかな外の明りに反射して、刃が白く光った。ポタポタと美しい赤色の液体が滴っている。あの液体は何だ。すごく赤い。そしてまるで``血``のような美しさを持っている。なぜだ?どうして?頭の中からはもう疑問しか出てこない。なぜ聡美が血のついた包丁なんて持っているんだ?
守「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
 真っ先に守が叫び声をあげた。そういえばコイツはホラーとかスプラッタが苦手なんだっけ。すっかり忘れていた。他にもこういうものが苦手そうなやつは沢山いるが、みな驚きすぎて声が出ていないようだった。おれもそんな状態だ。爽はすでに気を失いかけているようで、華聖が倒れないように後ろから支えながらも、様子のおかしい聡美を鋭い眼光で睨みつけていた。
水樹「みったん!?どうしたの…?」
椿「聡美さん!!」
 我に返ったのか二人が聡美の名前を叫んだ。ふだんからyouthとして一緒にいる二人だ、きっとこの中でも特に心配しているに違いない。だが聡美はその心配と不安を含んだ声に返事をすることはなかった。
 聡美は呆然とする東也に向かって包丁を振り下ろそうとした。
東也「うわああ!!」
それに気づいた東也は包丁で自分が切られる前に聡美を突き飛ばした。聡美はそのまま後ろに勢いよくドンッと音をたてて倒れた。結構痛そうだ。きっと本気で突き飛ばしたのだろう。でも聡美はその勢いで倒れたというのに包丁は手放さなかった。
葉呂「みんな!!今のうちに逃げろ!!」
 我に帰った秋葉がそう叫んだ。その声でみんながいっせいにバラバラの方向に逃げた。
ゆずる「寧々ッ!!」
 俺は自分の恋人の名前を呼び、その姿を探した。俺の声を聞いて、寧々がこちらに駆けてきた。延ばされるその手を掴み、俺たちは二階へと走った。



 全員がバラバラとなって逃げた。俺はとにかく必死に遠くへ行こうとひとりで逃げていた。一階の廊下をとにかく走る、走る。だんだん体力が切れてきて、走るのがきつくなった。そのまま止まって周りを見渡す。誰もいない。どうやらこっち側には自分以外誰も逃げてこなかったようだ。
 とにかく、聡美が追いかけてきてはいないことに安堵し。深呼吸をした。シーンとした廊下に自分の息の音だけが響く。
 明「よかったぁ…」
聡美「何が?」
明「えっ?」
 自分の真横に突然現れたのは、聡美。
明「うそ…」
 聡美の口角が上がる。にやりと不気味な笑みを浮かべ、俺の脚を蹴った。すごい勢いだった。ひざ裏にすごい痛みを感じ、小さく悲鳴を上げた俺はまえに倒れこんだ。
 うつぶせの状態で足の痛みにもだえ苦しんでいるおれの横に聡美が近づく。
明「さ…さと、み?」
 下から見上げた聡美の顔に、感情はなかった。聡美は俺のことをしばらく無言で眺めると、俺の脇腹を蹴りあげて、強制的にうつぶせからあおむけの状態にさせた。
 明「がぁっ!!」
聡美「これで二人目」
明「さと…み?何で、っう!!」
 聡美は俺の上に馬乗りになると首に手をかけて徐々に力を入れ始めた。肺に酸素が入らなくなる。呼吸ができない。苦しい、死ぬ。
 なんとか酸素を取り入れようと口を大きくあけるが、口内に入った空気が肺まで行き届くことはない。パクパクとまるで金魚のように口を動かす。
 苦しい。死ぬ。死にたくない。
 もう声を出すことはできない。
 もう眼をあけることもできない。


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2013年02月02日 | original-校内鬼ごっこ | こめんと 0件 | とらば 0件 | とっぷ

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